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誰かの声が聞こえるんだ。君の名前を教えて?・・・よく聞こえないな、もっと僕のそばに来ておくれよ。もっと話をしよう。さぁ、おいで。姿を見せて。
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05.16.08:41

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  • 05/16/08:41

03.04.03:37

【記憶のカケラ】声が聞こえる。

かあさま、見て。

小さな手が差し出した雪だるま。
魔法で作った小さな雪だるま。
ただ、大好きな母の笑顔が見たくて。

白い鳥に一羽混ざった黒い鳥。

声が聞こえる。
その幼子を見てささやく声。

ただ笑ってほしかった。
すごいねって褒めてほしかった。

幼子を見る母の顔は青ざめていた。

どうして。
なぜ。
ダメだって言ったじゃない。

泣き叫ぶように崩れ落ちる母。
笑顔の代わりに怒声と涙をもらった。

小さな手から雪だるまが滑り落ちた。
床に落ちて、無残にも崩れていった。

悲しみにくれる黒い鳥。

声が聞こえる。
幼子を見て恐怖する声。

かあさま!かあさま!

最後に見た母の顔は無表情だった。
感情を隠そうとしているようにも見えた。

幼子を容赦なく連れて行く大人。
高台にある、真っ白な雪に覆われた岩の牢。

かごに閉じ込められた黒い鳥。

声が聞こえる。
誰にも聞こえない、大きな大きな泣き声。

やがて幼子は泣きつかれた。
外へ出ることを諦めた。

「生まれてこなければ良かったのだ」

そう繰り返される言葉に心を染めていった。
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