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誰かの声が聞こえるんだ。君の名前を教えて?・・・よく聞こえないな、もっと僕のそばに来ておくれよ。もっと話をしよう。さぁ、おいで。姿を見せて。
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05.15.20:48

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  • 05/15/20:48

12.13.16:20

【SS】「好き」【トキポル】

とある世界、とある場所。
迷惑だったのかなー・・・とか、さ・・・。


「まだ、まだ、どうして、見せるのは怖いんです。」


・・・僕が、なのか、トキが、なのか。ちょっと醜い感情。


「好き」


「この間、フェローさんにお茶に誘われまして・・・」


青から白へ、紫へ、ゆっくり変わっていく空の下。
隣を歩く彼はいつものようにニコニコ笑いながら、最近起こった出来事を話してくれる。


「綺麗な方ですよね、優しくて・・・」


それを聞く僕はいつものように下手な相槌を入れながら、それほど変化もない張り付いたような笑み。

自分でも、気持ち悪いなぁ、って。
話を聞きながら、不意に巡る暗闇にほんの僅かな、僅かなため息を吐く。


「・・・トキさん?どうかしました?」

「あっ、いえ、つい考え事を・・・」


見逃してはくれない、小さなトゲにも似た優しさに自嘲気味に、また、笑う。

寒い鳥籠の中の暮らしに慣れすぎて、暖かな春風の傍で暮らすことにまだ落ち着かない。
だから、なのか、それとも。
「笑っていれば、嫌われることはそうないんだよ」、と友に教えられてから、
取れない仮面のように、ずっと、ずっと笑ったままの。

笑っていなければ。まだ、きっと自信がないんだ。


「ねぇ、ポルカさん。彼のこと、どう思ってます?」


なんとなく聞いてみたくなって。


「? 好きですよ。
兄さんも、二郎さんも、夜和子さんも、デリックさんやクレーグさんも、みんな。」


ふわり、笑顔とともに答えが返ってくる。


『じゃあ、僕は?』


開こうとした口は、いつものように咲かぬ蕾のまま。
聞こうと思って、でも聞けなくて。
確かめたいのに、それが怖くて。

「当たり前」は、自分が思っているほどにはきっと「当たり前」じゃなくて。

もしも、聞けたとしたら、どんな答えが返ってくるのだろうと。
唇はいつものように弧を描いたまま、想像が巡るだけで、その話が続くことはなかった。







__________________________________


出てきた名前は適当です。ポルカさんのフレンドから無作為に。
本当なら、彼の心は彼にしか計れないのでああやって書くこと自体僕の中では間違ってるんですが。

見えないもの、確認できないものは、とっても怖いものですね。

笑っていれば、いつかは愛されると信じて。
でも、笑っていなくても愛されたままでいたいと、そう願う心もあるのです。

誰もが嫌う暗闇を、まだ、隠して、でも、隠せなくて。これは僕。

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