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誰かの声が聞こえるんだ。君の名前を教えて?・・・よく聞こえないな、もっと僕のそばに来ておくれよ。もっと話をしよう。さぁ、おいで。姿を見せて。
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05.15.21:36

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  • 05/15/21:36

06.03.12:24

【SS/絵】静かな「おやすみ」 【にじすた再録】


カタッ、カラカラカラ・・・。

時々忍び込む隣人の部屋。
厳重に鍵をかけたつもりで必ずどこかが開いているその部屋の主は、それが日常になりすぎてむしろもう楽しんでいるようで。

見つからないように。
どうせすぐに見つかるんだけど。
どうせすぐに蹴り出されるんだけど。

部屋を見回す。
いつもなら聞こえてくる、会話のような独り言が聞こえてこない。


「じょーくーん?」


ぎゃんぎゃん始まる、いつものやり取りを想像しながら。


「いなーいのー?」


そっと椅子に座っている少女人形のそばを通り過ぎて。


「おーい、おーいってばー。」


だんだん大きくなっていく声。
忍び込んでおきながら住人を呼ぶ様がなんだかおかしくて少し笑う。


「ジョーくーん!おーいっジョー君どこー?」


まるでかくれんぼの鬼をしているような。

ばかっ。がたっ。ごとん。
部屋の隅々まで、必要もなく漁るように探す。


「うる・・・さい・・・、んん・・・・・・」


ぴたり。動きを止めて声の聞こえたほうへ振り向く。
ごそり動く音を一緒に小さな声が聞こえたのはロフトの上。
それほど高くはないそれに登って覗き込めば、ベッドの上に転がる家主。


「あ。」


寝てたのか、と。
ベッドに近寄ってふちに腰掛ければ、ぎしりとスプリングが鳴った。


「う・・・。」


それに反応したのか、少し身じろいで。
起きたわけじゃなく、多分無意識だったんだろうなって。
眠っていても眉間による縦皺にちょっとクスリ。


「寝てるときまでそんなツラしなくてもいーのに」


そっと手を伸ばして髪を撫でる。
小さなうめき声が聞こえた。
はらりと流れた前髪の向こうで、表情が穏やかになった気がした。

叩き起こしていつもの怒声を聞くのも悪くないけど。
たまには静かに眺めとくのもいいかな。

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「おやすみ。」
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