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  • 05/15/23:03

06.27.17:33

【SS】暗がりの歌に気まぐれを【アニトキ】

物書きが苦手な僕ですが、時々書きたくなることがあります。
ただ伏線とか情景描写とか細かい記述は苦手なのです。
構成とか一切考えずに、見えた光景から書いていくのでどうしても感覚的な文章に。
でも個人的に細かい描写をしない方が想像の(妄想の?)余地が残るので、その方が楽しいというか。
はい、完っ璧な自己満足の世界ですありがとうございます。

ということで、先日並べてうpした絵茶の落書きで、どうしても自分の中で萌え上がったのでやらかしてみました。
CPアニトキ、一人称なのか三人称なのか曖昧な文章です。

うちの子はサンセル住まいですが、どっちの屋上にも現れます。
たぶん、某方がランティスの10階に住んでるせいでしょうね。

みーたんが書いてくれた兄様サイドは、にじすたにて。
ということでトキside。追記からどうぞ。


暗がりの歌に気まぐれを





半分に割った果実のような月が昇り始めるころ。
少しずつ、街の明かりが消え始める。





いくつか灯る寮の窓からこぼれる光を頼りに、住処から隣の屋上へ移り渡る一羽の鳥。
その黒い翼が一度闇に溶け、建物に近づくほどに再び微かに照らされる。
翼に風を含んで、カツン、硬い靴音を小さく鳴らし着地する。
つむじ風と共にその翼を腕に戻して。

ひゅお、と少し冷えた夜風が吹いた。
自分の長い前髪を弄ぶ。
微かに運ばれてきた香り。

くす、と小さく呆れ半分な笑みを零して。
それはその香りの主へだろうか、それとも、自分にだろうか。





柵の外側。
夜景が綺麗。
あそこに見えるのは学園だろうか。
遠くの湖に月が映る。

屋上の縁に腰を落とす。
軽く足を揺らして。空を見上げれば、かかる雲の向こうに星が見えた。





風の音以外は何も聞こえない。
喉を冷たい空気が通っていく。



ひゅぅ。



暗闇の静寂に、静かに響く声。
振動は旋律を伴って、流れを作る。
低く紡がれる言葉は、見えない五線に乗って高く上っていく。
コツ、コツ、壁にあたる靴底がリズムを刻んで。









不意に、ポーン、と違う音。







音に気づいて、止まった旋律。
あたりを見回しても、誰もいなくて。
空耳だったかと、また息を吸い込もうとした時。

催促するように、単音が並べられる。
喉が奏でていた旋律を綺麗になぞって、次第に音が増えていく。
奏でられるピアノが止まった。
そして与えられた、旋律の始めの音。





少しの戸惑いと、少しの嬉しさと、少しの。
ふ、と口元が弧を描く。






真夜中のソリストに、重ねられる伴奏。
虚空へ伸びる声に絡まるピアノ。
音階を伴った風が、空へ舞い上がり、消える。




時間にして、5分なかっただろうか。
たった1曲。それ以降、ピアノが聞こえることはなかった。

思わぬ気まぐれ。
後で訊ねたところで、きっとあの人はしらばっくれるに決まってる。
小さなため息を吐いて、また、吸って。





ひとつ、またひとつ、街の明かりが消えていく。






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